新しく管理職になった人に研修を用意したい。予算も取れた。ところが「何をやるか」で止まる。よくある場面です。
「マネジメント研修」では中身が決まらない
マネジメントという言葉が指す範囲は広すぎます。目標設定、評価、1on1、労務管理、業務の割り振り、部門間の調整、部下のメンタル対応。すべてを1日に詰め込むと、どれも聞いただけで終わります。
研修は、絞るほど効きます。絞るための材料は、社内にあります。
現場で起きている問題から逆算する
次の3つを見てください。テーマはたいてい、この中から浮かび上がります。
- 退職者の面談記録。「上司との関係」が理由に挙がっていれば、1on1と伝え方が優先です
- 相談窓口に届いた内容。ハラスメントに関する相談があれば、線引きと初動の判断が先です
- 新任管理職本人の困りごと。直接聞いてください。「評価の付け方が分からない」「自分でやったほうが早くて任せられない」など、具体的な言葉が出てきます
研修見積ナビでご相談を受けるときも、最初に伺うのはここです。「何をやるか」ではなく「いま何が起きているか」から始めます。
テーマの候補と、選ぶ基準
| テーマ | こんな状態のときに | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 1on1・傾聴 | 若手の離職が続いている。上司が「何を話せばいいか分からない」と言う。 | 半日〜1日 |
| 目標設定と評価 | 評価の基準が人によってばらつく。部下が評価に納得していない。 | 1日 |
| 任せ方・権限委譲 | 管理職がプレイヤーのまま。残業が管理職に集中している。 | 半日〜1日 |
| ハラスメントの線引きと初動 | 指導とハラスメントの境目が分からず、指導そのものを避けている。 | 1時間〜半日 |
| 労務の基礎 | 労働時間の管理や休暇の扱いを、管理職が把握していない。 | 半日 |
| 部門間の調整・交渉 | 部門間で仕事の押しつけ合いが起きている。 | 1日 |
迷ったときの基準はひとつです。3か月後に「何が変わっていれば成功か」を一文で言えるテーマを選ぶ。言えなければ、まだ絞れていません。
10時間パッケージの組み立て方
人材開発支援助成金の一部のコースには、訓練時間が10時間以上という要件があります。1日の研修では届かないため、複数回に分けて組みます。分けること自体に効果もあります。1回目で学び、現場で試し、2回目で持ち寄る形にできるからです。
たとえば次のような組み方です。
- 1日目(6時間):役割の認識、目標設定、任せ方。実際の部下の名前を出して、来月の任せ方を考える
- 現場実践(4〜6週間):1on1を2回実施し、記録を残す
- 2日目(4時間):持ち寄ってふりかえり。うまくいかなかった場面をロールプレイで作り直す
合計10時間です。実践期間を挟むことで、研修が「聞いて終わり」になりません。
助成金について、正直にお伝えしていること
支給されるかどうかを研修会社が保証することはできません。決めるのは労働局であり、御社の雇用保険の加入状況や過去の受給歴にも左右されます。当社がお引き受けするのは、要件に沿ったカリキュラム設計と、訓練計画届・実施記録といった書類の準備までです。申請そのものは、御社または顧問の社会保険労務士が行ってください。
実施のあとに必要なこと
研修を「やった」で終わらせないために、次の3つを最初から決めておきます。
- 記録を残す。実施記録、出席簿、受講証明、事前事後アンケート。社内報告にも助成金申請にも使います
- 3か月後に聞く。受講者本人と、その上司の両方に。何が変わったか、変わらなかったかを短く聞きます
- 翌年の企画に反映する。変わらなかった項目が、次のテーマの候補になります
研修見積ナビでは、この3つを標準の運用に組み込んでいます。記録一式をお渡しし、3か月後にあらためてお伺いし、翌年のご提案はその内容を踏まえて作ります。
まとめ
テーマは、社内で起きている問題から逆算して絞ります。「3か月後に何が変わっていれば成功か」を一文で言えるところまで絞れば、あとは講師選びです。10時間以上に組めば助成金の要件に対応した設計もできますが、支給が保証されるわけではない点は正しく理解しておいてください。
公開日:2026.09.05 / 研修見積ナビ編集部(監修:清水 明夫)
この記事について
掲載している内容は、研修の発注実務における一般的な考え方をまとめたものです。個別のご事情によって適切な進め方は変わります。具体的なご相談は無料相談からお寄せください。
